Act,03 | ||||
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「死んだ?」 の一言にそれまで好奇心に満ちていた3人の表情に陰りが表れ、リザはそっと部屋から退室していた。 そしては、ぽつりぽつりと語り始める。 ほんの数分前の自分に起きた出来事を…… ひとつひとつ、頭に思い浮かぶ情景を思い出しながら。 「温泉旅行に行く予定だったんです私」 いつの間にか戻っていたリザから薄めの珈琲が入ったカップを受け取り、お礼ついでに名前を聞いて。 「大型のクライアントさんとの仕事も終えて、 1年以上かかってたプロジェクトも無事終了。 会社の皆とは全然別なサイクルでお仕事してた私だけ、 やっとお休みが取れて……」 聞きなれぬ単語に口を開こうとするエドを目で制し、ロイはには分からぬよう遮る事なく言葉を続けさせる。 「2泊3日で一人のんびり温泉旅行にでも行って、 リフレェッシュ休暇取ったら、 次の企画書でも自宅でのんびり作ろうかなって…… それで…近場の温泉宿の予約も取れて、 荷造りも終わって…いざ当日… 自宅アパートの近所の道で子供が遊んでて…… そこに大型トラックが…… たぶん無意識にその子かばって…… 気がついたら怨みの門みたいな所に居たんです」 カップを持ったまま、それまで伏せていた顔を上げ、 ありきたりでしょ? と、不思議と漏れた笑顔で目の前のエドに小首を傾げる。 「聞いた事の無い言葉が多いようだが……」 「門……門!あんた門を通って来たのかっ?!」 ロイが話しを続けるより先に、 エドが体を乗り出し、に問い詰める。 「門って……えっと……セフィロトだっけ? カバラの生命の樹が彫られた… ギリシャ神話みたいな扉の事なら……」 「そんなよくわかんねー単語はどうでもいいんだ! あんたはあいつに会って、真理を見たのか?」 「真理って…えっと進化論の事?」 「鋼の、少し落ち着け。 彼女の話を最後まで聞いた上で、質問しろ。」 それでも身を乗り出し、今度はロイへと講義をするエドに、アルが溜息を漏らし、 「続けて?」 と二人を尻目に優しく促すと、は申し訳なさそうに続きを話始めた。 「それでね、門番さんが言ったのよ 『お前さん今死んだよ』って… カバンも持ってるし、服だって汚れてないのに、 頭でも打って変な夢見てるのかなって思ってたら、 目の前にね…血まみれの自分の姿があったの…… 頭を強打して、目玉が飛び出てて…髪に脳の一部が……」 それまで普通に話を進めていたも、 顔を青くし、カップを持つ手を震わせながら小さな声でそれでも確りと語り続ける。 ロイとエドもいつの間にか、口論を止め、話に聞き入り、震える体をロイが優しく抱きとめた。 「無理はしなくていい…話せる所までで…」 その言葉にも首を振り、再び口を開く。 「子供はね…泣いてたけど無事だったの… 私がそれを見ながら立ち尽くしてたら…… 門番さんがまた言ったのよ 『ちょうど良いや…お前運が良い…もう一回生きてみるか?』 って…… なんの事だか良く分からなかったんだけど、 気がついたら私頷いてて、 そのまま目の前にあった門の扉が開いたかと思うと、 水子の霊みたいなのに引きずり込まれて…… 気がついたらここに居たの」 「五体満足でね」 と加え、はまだ青い顔を上げ、それでも笑顔を作る。 「やっぱりあんた門を潜って来たんだ…なぁ!なんか見なかったか?門潜る時!」 しばらく続いた沈黙を破り、何処か希望に満ちた瞳でエドがに詰め寄る。 ロイの腕の中、が首を傾げ、 「何かって何?さっきも聞かれたけど真理って…」 「エドワード君、とりえあずその話はまた今度になさい。今は彼女の現状把握が先でしょう?」 二人の会話を遮ったのはリザだった。 「貴方はここにいるマスタング大佐の錬金術で ここに呼ばれてしまったらしいのよ… それでね、先ほど口にしてた『日本』って言うのは地名かしら?」 3人が余計な口を開く前に、リザが話しを進めんと口を開き、 親しみのある女性の声にも応える。 「はい。私の住んでた国なんですけど… さっきから「大佐」って…軍人さんですか? だとしたらやっぱり違う国? リザさんもエド君も綺麗な金髪だし… だとしたら言葉……それに錬金術って……」 「ここはアメストリス国よ。 貴方の言う『日本』と言う名は聞いた事無いわね。」 「私もアメストリスなんて国名しらないけど…… 日本って結構有名な国だったと思いますし、 見たところここは発展途上国ってわけでもなさそうですから… ましてや軍人さんなら知っててもよさそうな気が……」 「発展途上国?」 「中尉」 このままいつまでも続きそうな二人の会話をロイが割り止める。 「とりあえずそういった話は後にしよう。 …君が何処から来て、ここが何処なのかはまた追々話して行くとして… 当面君の衣食住の話をする方が先ではないかな?」 「そう…ですね…どうしましょう… 温泉に行くつもりだったから、しばらく分の着替えなんかはありますけど…」 気がつけば机の上に置き去りにされた自分のバックに手を伸ばし、中身を確認しながら答え 「きっとお金も違いますよね…住む所どうしよう…」 財布の中身のお札を数枚出して見せるも、それは『日本円』で、見た事の無い紙幣に兄弟が興味を向ける。 「今回の事は私にも非のある事だ。君さえ良ければ家に住まないかい?」 ロイの台詞に中尉が溜息を付き、 それまで無邪気にの出した紙幣を眺めていた兄弟が固まった。 |
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なんか小説じゃないような気が… 文章めためたですがな。 所詮シナリオしか打った事の無い人間の書く物なんてこんな物。 それにしてもちょっと間違ったかな。 スタートダッシュでこれです。早く絡みでいちゃいちゃなん書きたいっス(≧△≦) |