Act,04 | ||||
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「ご家族の方にご迷惑でなければ……」 それが彼女の第一声。 そのまま騒ぎ出したエドを筆頭に、男3人の口論が始まる。 エドがロイに食いつき、ロイが面白がってそれを交わし、アルがエドを宥める。 そんな3人を尻目に、中尉がどちらにしても日用品の買出しに行こうと買い物に誘い、 二人は立ち上がって部屋を後にする。 「あれ?なぁ大佐2人は?」 「さんなら中尉と今出て行ったよ」 「……私も上がるか君らも付き合え」 自分の退室にあわせ、兄弟を部屋から追い出すと、 玄関口の受付で待つよう指示すると通りすがりのハボックに声を掛け、ロイもまた帰宅の準備を始めた。 鞄を持ち、受付へ連れられたは、 中尉に「着替えてくるから待っててね」と一言伝言され、 待合室の椅子に座り落ち着かない空気にきょろきょろと辺りを見回していた。 「そういえば…私ってなんでここにいるんだろう」 一人になっていままでの面子から耳にした話を思いかえるもなぜ自分がここにいるのか明確な理由はわかっていない。 『錬金術』と耳にした言葉は空論で、ゲームや物語のネタ話。 「迷惑…じゃないのかな…仕事も探さないと…私が働けるような所あるのかな…」 ほんの数分。 それでも一人の時間は色々と余計な事を考えさせる。 ぼんやりと瞬きもせず、足元のコンクリートと自分のサンダルを見つめる。 死んでしまった自分。 帰るところの無い自分。 知らない、聞いたことも無いような国。 無一文。 頭の中にぐるぐると不安がよぎる。 「お待たせ」 考え方がどんどん後ろ向きになり、気持ちが沈み始めた頃、 その思考を遮るかのように中尉が声を掛け、はっと現実に引き戻される。 「あ…えっと…お帰りなさい…」 言葉に行き詰まり、とっさに口にした一言にリザが笑顔を見せる。 「行きましょう。日の明るい内に済ませたいでしょう?どうせならお茶もしたいしね。」 軍服とは違い女性らしい私服のリザに思わず笑みが漏れる。 立ち上がるに、二人は連れ立って施設を後にしていた。 「お金は大佐から預かって来たから、適当に日用品そろえましょうね。」 「あ、はい」 見た事の無い町並み、見慣れない食材…… 見る物すべてが珍しく、リザの話半分にふらふらと周りを見渡しながら続く。 「馬車…それに車が…あ、これなんですか?」 買い物途中リザの腕を引き、子供のようにはしゃぐ姿に笑みを漏らし、 怒る事なくひとつづつ質問に答えながら適当に買い物を済ませていった。 「ふぅ…こんなに買っちゃって良かったんでしょうか…」 「いいのよ。これでもまだ遠慮した方なんだから」 リザの見繕いで適当に日用品を買い漁った二人は最近OPENしたばかりの喫茶店に腰を落ち着けていた。 「なんだか食材も初めて見るものばっかりで… そうなると食文化もずいぶん違うんですよね…うー私生活していけるのかな」 出された紅茶に口を付けていたリザがカップを置く。 「そんなに違う物?」 「こんなに大きなじゃがいも見るの初めてですよー まさか同じ名前の野菜までこうまで違うなんて… 日本文化が特殊なだけっていえばそうなんですけど…」 笑いながら手のひらで今日見たジャガイモの大きさを作って見せる。 「調理する分には変わらないんじゃないの? 私もそんなに料理は得意な方じゃないからわからないけど…」 「食べてみないとなんともわかりません。 調味料とかも違うのかなぁ…少なくとも麹が無いだろうから 醤油と味噌は期待できないだろうし… でも紅茶の味は同じなんですよねー面白い」 店の窓から見える景色を眺めながら、口にした紅茶の香りに息を付き、 続けてリザの顔見る。 「ここって内陸国ですか? なら海の幸は期待できないから魚介類も全滅? あーそれにお肉って豚肉が支流ですか? 私もしかしてとんでもない国に来ちゃった?」 「何をいまさら…楽しい子ね。食べ物で判断するような事?」 運ばれて来たタルトに「これは?」とお皿を勧め、 「大丈夫です。甘味大好き」と返事を返し、日常会話に花を咲かせ、女二人の時間は費えて行った。 「じゃロイさんは一人暮らしで戸建てに住んでて…部屋はあるんですね」 「そうね…男の一人暮らしに女の子って言うのは不安だけど… 今貴方を預かれそうなのは大佐しかいないのよ さすがにあの人も節度はわきまえると思うから、 預かると言った以上無理矢理押し倒すような事はしないと思うから……」 「押し倒すって…ロイさんってやっぱり女遊び激しい人です?」 「そうね…でもそんなにいい加減な人でも無い……と思うから」 濁る語尾に小首をかしげ、日の暮れかけてきた空を背に背負い、 二人はロイの自宅へと歩みを進める。 「あ、来た来た。」 「さーん。中尉もお疲れ様」 ロイの自宅が見え始めた頃、上着を脱いで、痛々しい機械鎧の腕を晒したエドと、アルが玄関口に立っていた。 「アル君エド君!」 両手一杯の袋を抱えたが二人の姿に駆け寄り、エドの姿を見るなり首を傾げる。 「どうしたのその格好?喧嘩でもした?」 薄着にかかわらず、薄っすらと汗ばみ、少し埃っぽいエドの姿に見入る。 「エド君子供なのに色っぽいねぇ…」 思わずぽろりと漏れた声に、エドが固まり、は中尉から声をかけられ、そのままそちらへ行ってしまった。 「兄さん色っぽいの?」 「なんだあのねーちゃん……」 ふたりの兄弟はそのまま中尉と家の中へ姿を消したの背中を見送った。 |
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中尉とデート。 とりあえず自己満足。もっと書きたかったけど、 気が付いたら2000ワード超えてたのでやめました(笑) あーやっと次から同居かー同居かー ハボーハボも出したいよー出したいー 余談ですが、軍の施設や仕組みは自衛隊参考です。 入り口の門傍に待合室があるのよ。 簡単な応接セットと、目の届く所に自衛官一人… 待ってる間怖いんだよね…なんつーか…居心地悪い。 年配の方なら話しかけてくれますが、若い人しかいないとしーーーーんって(笑) |