Act,06

ドリーム小説 「さて…では家の中を簡単に案内しようかな?」

家の中に入るなり、まだ少し寂しそうな表情を見せるの肩を抱いたまま、
提案すると、彼女は笑顔を見せてくれた。

「地下がワインセラーと研究室になってる、1階がキッチン、洗濯場、浴室。水場だな。
そういえば家事はできそうか?」
「家事…さっきみたいな食器洗いならできそうなんですけど…
洗濯って洗濯機無くて、掃除は掃除機無くて、ガスコンロに電子レンジもオーブンもないんですよね?」
「洗濯機?掃除…ガスなんとか…」
「聞いた事ないです…よね…電気は通ってるみたいだからドライヤーとパソコンは使えそうだなぁ…」

部屋に案内しながら、がちょこちょこと自分に必要な何かを探し、呟く。

「ドライヤー…パソコン…」
「ドライヤーは髪を乾かしたり、セットする為の電気機器で、
パソコンは……電子辞書とタイプライターを足してもっと高性能に便利にしたような物です。」

「後でお見せしますね」と加えて、今聞いても無駄な事は聞かず、彼女に浴室の使い方を説明する。

「それから2階がさっき食事をしたリビングと、書斎がある」

書斎の扉を開くなり、簡単の声を上げ、が本棚から一冊の本を取り出し、適当に開く。

「そういえば不思議なんです…私話してる言葉も使ってる文字も分からない筈なのに分かるんですよ…」
「分からない?」
「私は日本って島国で、生まれて育って……日本は独自の文字と言葉、文化を持った国なんです。
だから私は自分では今日本語を話してるつもりだったんですけど、
リザさんとのお買い物の時と…今この本見て実感しました。
私今たぶん英語を理解して、話して…読んでる…英語苦手だったのになぁ…」

本を閉じ、元の棚に戻すと私は彼女の体を抱きしめていた。

「荷物確認してみますね…手帳やパソコンは日本語の筈ですし…」
「できれば私も同行してもいいかな?それとも見られたくない?」
「ありがとうございます…」

ぽつりと呟く彼女に抱きしめる力を増し、頭を撫でてやる。
笑顔を見せても、不安な事には変わりが無いのだろう。
特に抵抗する事も無く、は抱きしめる胸に体を任せて来た。

「私も結構抱きつき魔なんですけど…ロイさんもそうなんですね…」
「誰にでもと言うわけじゃないさ…嫌かい?」
「…………」

返事の代わりに首を振る。しばらくそのまま彼女を抱きしめているとから私の腕を振り払っていた。

「これ以上は……なんか泣き出しちゃいそうなので」

笑顔で部屋を出ると階段を上がり始める。

「後はロイさんのお部屋とエド君達の部屋ですよね?場所だけ伺ったら、お風呂頂いても良いですか?」

先に上がった階段の上から手すりに身を乗り出し、が顔を見せ、返事の代わり彼女に追いつくと、
3階の階段側に引っ越した自分の部屋と本を読み耽っているでいるであろう兄弟の部屋を案内した。

「じゃ私お風呂頂いてきます。」

彼女は客間へと姿を消すと、中尉と買い込んできた日用品の一部を持って、浴室へと向かった。







「大佐…ちょっと……」

彼女の足音が消えるのを見計らってか、鋼のが扉を開き、自分達の部屋へと招いた。

「言いたい事がいろいろありそうだな」
「あたりまえだつーの」

部屋は引越しの際発掘した錬金術の本で早速散らかされていた。
研究者と言うものはみんなこんな物か…
ベットに腰掛、鋼のの言葉を待つと、意外な所から口が入った。

さん…僕の体見ても、兄さんの腕を見ても何も言わなかったんですよ…」
「あとアルが飯食ってないのみてもな…」

「何が言いたい…」

「側に…置いといていいのか?」

兄弟の顔を見れば、おそらく自分を気遣っているのだろう。
柄にもなく心配した顔を見せていた。
今夜泊まったのも自分の身を案じてか……

「今の所は心配も無いだろう…君達の体の事はともかく、
風呂から上がったら色々と聞いてみるつもりだ…
少なくとも今は彼女が嘘を言っているようには見えないのでな…」

「大佐がそう言うならそれで良いんだろうけど……」

兄弟は一度顔を見合わせ、改めて私の方へ表情を向ける。

「大佐、僕達しばらくここにお世話になって良いですか?」
「あいつに聞きたい事もあるし……」
さんの事…どっちに傾いても僕達が居た方が都合が良いと思うんです。」
「丁度行き詰ってた所だしな…今までの情報を整理するのに良い機会かとも思うし」

こんな子供にまで心配されるとは我ながら不甲斐無い。
表情を隠すようにそっぽ向く鋼のに苦笑し、頭を撫でてやると一度鬱陶しく振り払うも、
そのまましっかりと自分を見据えてきた。

「良いよな?」

「構わないさ…好きにしなさい。部屋ならここを使えば良い」


この兄弟の事だ、拒否した所でそれに従う玉でもない。
二人と適当な話をしているとが入浴を済ませ、廊下から私を呼んでいた。






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兄弟と大佐の密会だけで終わってしまったような気がするのは気のせいですか?

次辺りこの背景画像を拝借してきた意味がやっと出てくるような気がします。
出会いとお互いの文化の解説交換。
それで第一部って感じでしょうか……

部屋の解説するつもりなかったのに、気が付いたらしてた(笑)
前回の後書き意味ないじゃーん