Act,10

ドリーム小説 香ばしい香りに誘われ目が覚めて、
支度を済ませリビングのドアノブに手を掛けたが、
私はそのままアルフォンスとに聞き入っていた。


「見えなくて良い物か…それを言ってしまえば私の錬金術も変わらないか。」

無意識に呟き、中の様子を伺うと二人の笑い声が聞こえ始め、
改めて私はドアノブに手を掛け、室内へ顔を見せた。

「おはよう。・アルフォンス。」
「あ、おはようございますロイさん。」
「おはようございます。」

まるで仲の良い姉妹のように二人顔を合わせ、私に挨拶をくれる。
それと同時、ピンクイロの丸い物体が足元まで転がって来た。
それを拾い上げ、アルフォンスに手渡す。

「なにか良い香りがしてね。朝食買ってきたのか?」
「アル君と一緒に買ってきたんです。私こっちのお金持ってないし……
ロイさん召し上がりますか?直ぐにできますよ」
「そうだね…お願いできるかな?」
「飲み物はどうしますか?珈琲?お砂糖とミルクは?」
「飲み物は珈琲で砂糖もミルクはいらないよ。」

「分かりました」と彼女は一言告げ、部屋を後にする。
アルフォンスが手伝おうと立ち上がったが、引きとめた。

「さっきの話だが……」
「やっぱり聞いてたんですね」
「鋼のにも話してやれ。朝食が終わったら私は彼女を連れて買い物にでも出かける。
その間にでも話をすればいいさ……かまわないね?」
「はい。えっと…僕ら図書館にも行くかも知れませんが…」
「それもそうだな。好きにすればいいさ…」

いいながらソファーに腰掛け、テーブルに置かれた新聞を手に取る。
そういえば昨夜さんざん散らかした筈だかきれいに片付いている。

さんが片付けてくれたんですよ。必要ならまた出しますって。」
「……そうか。」
「僕運ぶの手伝ってきますね。」

キッチンの方から香ばしい香りが漂ってくる。
朝食を自宅で食べるのも久しぶりか……
昨日彼女は中尉と共に日用品は買ってきた筈だが、
量もたいした事無かった上、洋服はまだ未購入と言っていた。
今日は街を案内して服を買いにでかけても良い。

私の望みが適ったのだとしたら……足は綺麗な筈だ。
丈の短いスカートもさぞ似合うことだろう。

新聞に目を通すより早く彼女とアルフォンスの足音が聞こえる。
彼女がノックするより前に扉をあければ、
おいしそうに焼きあがったオムレツと彼女の笑顔が飛び込んできた。

「ありがとうございます。それとお待たせしました。」

二人が部屋に入ると食卓に彩り豊かな朝食が並べられる。

「こちらこそ礼を言わないと…こんなまともな朝食は久しぶりだよ」

席に付き、焼きたてのオムレツとパンに手をつける。
少々薄味か?だが卵の旨みが良くでている。
もちろん中は半熟で綺麗な焼き上がりだ。

「ほう…旨い。料理は得意かい?」
「ありがとうございます。
一人暮らしが長いから…かな?
卵って安くて、動物性タンパク質簡単に取れるので、良く食べたんです。
それに、オムレツとかオムライスとか厚焼き玉子って、
結構こだわっちゃって焼き方勝負しちゃうんですよね。」
「勝負?」
「はい。勝負。うまく焼けたら私の勝ち。
失敗したら負け。常に自分との戦い。日々精進です!」
「一人暮らし?君は家元を出ていたのか…女性の一人暮らしとなると色々大変だろう。」
「そんなに苦に思った事はありません。日本では女性の社会進出も盛んで、
男性と同じように女性も肩を並べて仕事をしてましたし。」
「なかなか…たくましい社会だな。」

パンを千切り口へ運ぶ。買ってきたパンを切って、その上でオーブンで少し温めてあるのだろう。
香ばしくておいしい。彼女の些細な優しさと気遣いが伝わってくる。

「今日この後なんだが…二人で買い物にでかけないか?私は今日非番なんだ。」
「お買い物…ですか?でも昨日リザさんとも……」
「昨日は日用品だけだろう。服と…料理ができるようなら食材や食器もな。」
「あ、じゃ本屋にも行って見たいです。お料理の本!
お世話になるなら家事くらいやらせてください。」
「もちろんやってもらうつもりだったよ」

必要なら家政婦でも雇うかと考えていたが、必要ないようだ。
彼女のやる気あふれる返事に笑みが零れる。
和やかに朝の時間が過ぎる。私が朝食を追え、の淹れなおしてくれた珈琲を飲み始めた頃、
鋼のが起きて来た。

「はよーっす。アルー腹減ったー」
「おはようエド君。朝ごはんすぐ用意するね。着替えて顔洗っておいで。」
「あ、えっとサンキュ。よろしく……」

私の食器を下げながら、起きて来た鋼のに笑顔を向け、
彼女は部屋から姿を消し、彼も一度朝の支度へ向かい、再び姿を見せると私の目の前に座る。

「朝から優雅だな。」
「朝と呼ぶにはそろそろいい時間だな…。
今日は彼女を連れて買い物にでかけるから、君達とは別行動だ。」
「なんで…」
「アルフォンスに聞けば分かる。」

珈琲を飲み終えた頃、アルフォンスに手伝われ彼女が鋼のの朝食を持って現れる。
そういえばそろそろ…
10時を知らせる時計の音と、ピンクの物体が時報を伝える頃、ドアのチャイムが鳴った。

「大佐…来たんじゃねーの?」
「そうらしいな…私が出るから君はそのまま朝食を続けろ。アルフォンス手伝ってもらえるか?」
「何が来たんですか?」

立ち上がろうとしたを制止し、アルフォンスを連れ、私は玄関へと向かった。
彼女の家具を受け取る為に。


「あんたは待ってりゃいいよ。必要になったら大佐が呼ぶさ。」
「そう?」


昨日購入しておいた家具を運び終え、部屋の準備が整い彼女を呼ぶ。
喜ぶ顔が目に浮かぶようだった。





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大佐とのデートどこ行った…
つか毎回2部構成?
うぬぬぬ
つか大佐視点ってむずいね。ちょっと学習しよう私。