Act,20 | ||||
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シャツ一枚の姿でがベットに腰を下ろす。 白いシャツから伸びる太股が気になって仕方ない。 昨夜の事を反省するつもりがこれでは逆効果だな… 反省どころか時間の許す限り続きを頼みたいくらいだ。 腕を延ばしの頬に触れる。 何も言わない彼女の小さな唇に唇を重ねんと顔を近付けると、 頬に触れていた手をはたき落とされ現実に引き戻される。 「話があるんじゃ無かったんですか?」 目が怒っている。 「言葉を交わすよりもこちらの方が分かりやすいかと思ったんだか…」 「何が分かるんですか。」 「私から君への愛かな?」 パッシーン 乾いた音が部屋に響いた。 頬が僅かに熱を持つ。 綺麗に入ったな… 思っても見なかった衝撃に唖然との顔を見れば、 彼女の瞳はこちらに来てから何度目かしれない涙で溢れていた。 「私は何か君の気に触るような事をしただろうか…」 再び頬へ手を延ばすも拒否される。 「一人で生きていけない世界なら…いっそ死んだ方がマシでした…」 涙に混じる掠れた声で発せられた言葉に怒りに似た感情が沸き上がる。 「折角拾った命だろう…それに月並みだか人は一人で生きているわけではない……」 「分かってますそんなことっ」 私の言葉を彼女の声が遮る。 「でも…それでも…私はっ…」 そういえば少し前に雨の中捨てられていた子猫がこんな顔をしていたか… いや…私はもっと前に同じ顔をした人を見て自分を嫌になった事がある。 裏切られ、人を信じられず、恐怖と軽蔑のまなざしで…全身を震わせ威嚇される… 恐れているのは私の方かもしれない… 受け入れると良いながら人を恐れ、何処か線を引き…… 子猫の時はくだらないと目を剃らし、2・3日後同じ道を通った時にはもう忘れ去っていた。 その前は… あの眼差しに恐れ…伸ばした手で私は彼らの命を絶った… あれから向けられた眼差しと、あの頃の取った、取らざるを得なかった自分の行動が許されず、 今の私が有る事を忘れていた様な気がする。 思いも状況も違えど、同じ様に震え、人を信じられずにいる彼女が私の目の前にいるのは、 それこそ私が望んだ者なのかもしれない。 昨夜彼女を抱くつもりなどかけらも無かった。 だか吸い込まれ、引き込まれる様に、体を重ねたのは、私が人として彼女を必要としたからかもしれない。 震える肩にしっかりと腕を延ばし、彼女の体を抱き締めた。 「温もりが欲しいのは私の方だったのかもしれない…………私を一人にするな……。」 一人でいる事など容易い。 だが一度手にしてしまった温もりを手放す事などできるはずないんだ。 腕の中に納まり、まだ震える体は、今まで体を重ねてきたどんな女よりも暖かく愛おしい。 『愛』など言葉にして一夜のベットを温める事など簡単だったが、今までとは違うこの温もりを、 一瞬でも手放してしまえば、もう二度と手に入らないような、そんな恐怖にも似た感情が沸き起こる。 「でも私は……」 「過去の事など関係ないだろう。大切なのは今とこれからだ。 ……もっともっと話をしよう。 焦らなくていいんだよ……喧嘩だってすればいい。 ゆっくり時間をかけてこれから二人の生活を始めれば良いだけの事なんだ。」 少し肩を離し、彼女の顔を覗き込む。 涙をいっぱいに溢れさせた瞳は真っ赤に腫れ、ぐじゅぐじゅと鼻を啜りながら、 言葉にならない言葉を紡ごうと唇を開く。 「無理はしなくて良いんだよ……駄目なら駄目でその時また二人で考えれば良いさ…… 今私にとって一番大切な事は、君にここへ……私の腕の中に居て貰う事だ。」 頬に伝う涙を指で救う。 今度はその手を払われるような事も無い。 じっと見つめてくる瞳に目を細め、恐らく私は微笑みかけているのだろう。 「先ほど言った『愛』などと言う感情があるのかどうかは正直わからない。 だか私はまだ今まで君が食べていた前の世界の料理も作ってもらっていなければ、 ピアノもまだ聞かせてもらっていない。 仕事の話もろくに聞かせてもらえていないし……そういえば歌も歌えるそうだね…… 傍に居てほしい。もっと私に君の事を教えてほしい。それではだめだろうか……」 返事の代わりにの瞳にどっと涙が溢れ、私の腰に抱きついてきた。 そのまま泣き崩れる。 「私達は違うようで、良く似た人間なんだろうね。」 だからお互い引き合い、出会った。 一人が良いといいながら、どこか自分の居場所を求め、温もりを探し続けていたのだろう。 世界や国は違えど人は同じだと痛感させられる。 言葉にしなくても、今、自分の胸の中に飛び込み、子供のように泣きじゃくるの頭をそっと撫でる。 慣れないその行動に些か不安はあったが、掌はごく自然にの頭を撫でていた。 シャツに広がる涙。 がゆっくりと顔を上げる。 「ロイ…さん……。」 「あぁ……、守って欲しい事が一つだけ……私の事は『ロイ』と呼んで貰えるかな。」 「あ……はい。ロイ。」 泣きっ面のままが笑顔を見せる。 まだまだ作り物の雰囲気と返事の為の笑顔だろう。 だが近いうち彼女の本当の笑顔を見たいと、心底思う。 その為にはどうすれば良いか、やっと入り口が見えたような気がした。 彼女が再び顔を埋めた胸の中。 冷たいはずの涙の跡が今はどんな熱湯よりも熱く感じられた。 |
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これでなんとか一区切りでしょうか…… 結局『愛・恋・恋愛』って感情には二人ともまだ行き着いていません。 そこらへんはこれからきちんと共同生活を始めて、書いて行こうかと思ってます。 なんとも気の長い話ですが、一応原作プラスアルファちょっとアニメにそってまったり書き進めて行くつもりなのですが、 まだその前段階も終わっていない上にまだまだ第一段階です(笑) あと昨夜からの兄弟の動向なんかも次に書きたいし(ヒヒヒ 楽しかろうなぁ楽しかろうなぁ |