Act,23 | ||||
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「エド君アル君お願いがあるんだけど……」 しばらくの二人の沈黙をが破る。 当の本人は昨日の夜この二人の兄弟が自分のせいで眠れなかった事も、現在のこの沈黙の訳など知りもしない。 「あ……えっと何?」 「どうしたの二人とも?」 自分の発言よりも会話の無い思い空気に首を傾げ、 二人の座るソファーへノートパソコンと紙を持って落ち着く。 「洗濯機と掃除機作りたいから材料作って欲しいのよ。」 「ソウジキとセンタクキ?」 の発言と持ち込まれたパソコンに二人が身を乗り出す。 立ち上げ、映し出された画面には何かの設計図が映し出された。 「掃除機は電気の力で掃除をする機械で、洗濯機は電気の力で洗濯するものなのね。 どちらもモーターの力でドラムを回転させて、その遠心力を応用するものなんだけど、 部品を一つづつ作ってもらって、私が組み立てれば完成すると思うから……」 どこから引っ張り出してきたのか、画面にはまず洗濯機の設計図。 モーターの構造や各部位の素材を詳しく説明していく。 「なんか……さんってウィンリィと話が合いそうだね……」 「ウィンリィ?」 「俺の機械鎧作ってる技師だよ。機会ヲタクで俺らの幼馴染。」 「幼馴染って……そんな高性能な義手をエド君達と同年代の子が作ってるの?!」 「そんな驚く事か?」 「だって……ずっと気にはなってたけど、私のいた世界じゃまだそんな性能の言い義手は存在してなかったのよ。 それってたぶん神経から流れる微弱な電気信号でシリンダー動かしてるんでしょ? 錬金術の応用があってこそなんだろけど、それを作れるって本当にすごい技術だと……。」 「あ、えっと…あーうん。良い腕してるし、あいつはすごい。」 「なんか言ってる事がウィンリイと同じだね。」 熱を入れ発言するに二人の兄弟が苦笑する。 機械鎧の話を遮り、とりあえず目的の物を作ろうと、必要な材料を買出しに出かけ、大量の材料を庭に並べる。 「さっき道具入れで芝刈り器も見つけたからお庭のお手入れもしないとね……」 伸び放題の雑草にげんなりとため息を付き、並べられた材料を二人の兄弟が形に変えていく。 大雑把な形作りを兄が担当し、細部の細かい作業を弟が担当する。 「合成樹脂は有るみたいだから、用はその圧縮濃度を変えればプラスチックの代用に……」 紙に書かれた化学式を見ながらエドが練成を繰り返す。 プラスチックに変わる塊を練成すると、設計図のサイズに合わせアルが形を作り直す。 それをが購入してきた螺子で締め、なんとか二つの家電製品が形を見せた。 「後は動くかどうか……」 手作りの発電装置にコンセントを差し込み、スイッチを入れれば掃除機が動き出す。 遠心力を利用した掃除機はサイクロン形式で吸い込んだゴミが分解される。 「OK大成功。あと洗濯機はさっきエド君の血で汚れたタオル洗ってみよう。」 「なんだこれ……」 「カーペットの色変わったね…新品見たいだ。」 の指示で自分達の作り出した機材の性能に目を点にする兄弟に、は思っていた以上の出来に機嫌が良い。 続けて動かしてみた洗濯機もうまく行ったようで、今後は家で洗濯できると脱水したばかりのタオルを室内に干しながら2つの家電製品の話を続ける。 「そういえば……アル君電話ってなんだったの?」 「あ――――――すっかり忘れてた。今夜から泊まりでヒューズ中佐が来るって……」 「ヒューズ中佐?」 「なんだ中佐来んのか?」 「そうそう。だから夕飯一人増えて、客室も一室……」 「えっと…でもまぁ一人増えるくらいなら材料足りるかな?」 「さんもしかして今日まだ台所立ってない?お食事は?」 「何も食べてないし……なんで?」 「材料無いぜ?」 「なんで?」 「兄さんと大佐が……」 「????」 掃除機を作った勢いに乗せ、部屋中に掃除機を掛け、どっぷり日が沈みかけた頃の話。 収納場所を確保し、落ち着いた頃そんな会話になり、が言われて台所に入るとそこは昨日自分が使ったキッチンとはまったく違う姿を見せていた。 「なにこれーーーー」 材料をみじん切りにした為に飛び散った野菜の残骸。 分厚く切られた野菜の皮。 使った食器もそのままに残されたスープらしき物体も蓋をすることすら忘れられ…… 「あの……後片付けしようと思ったんだけど、大佐がもう時間が無いって…」 「帰ってきたら一番に片付けようと思ってたらあの騒ぎでさ……」 どうやら兄弟が早めに帰宅した理由はこれにもあったようだ。 の体小さく怒りに震える。 「買い物………」 「ま……まぁ夕食は外で済ませて……」 「掃除はさっきしたからいいよね!朝ごはんの材料だけなら何とかなるかも……」 「何とかならない!電話してきたって事は家で食べるってことでしょ!二人は買い物行ってきて!」 二人の会話を遮ってが殴りかからんばかりに食ってかかる。 急ぎ冷蔵庫の中身を確認して、買い物リストを渡し、邪魔な二人を追い出した。 昨夜の事など思い返して耽る暇など今はなさそうだ。 とりあえずは目の前の惨劇を納めるべく、シャツの袖を捲り気合を入れ立ち向かった。 |
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掃除機と洗濯機を夢の壁紙に持ってきたやつは私くらいだと思います(笑) 壁紙に持ってきたのはめちゃ性能良いんですけど、 実際の洗濯機や掃除機はすっごく単純で簡単なつくりをしています。 発展しなかったのは男が女の家事って仕事を簡単に見ていたためかと…… 第1次世界大戦後両方とも開発・販売・実用化されてるみたいですね。 合成樹脂についてはエドの機械鎧に使用されてるようでしたのでそのまま思った通りに。 ま、深い突っ込みは無しって事で(爆) |